レポート一覧

院外CPAから長期予後を得た心原性肺水腫のチワワ

院外CPAから長期予後を得た心原性肺水腫のチワワ

診 断

院外心肺停止
心原性ショック、心原性肺水腫(僧房弁粘液腫様変性/僧房弁閉鎖不全症)、過粘稠度症候群

症 例

チワワ 13歳 避妊雌

稟 告

呼吸が荒く、来院3分前に心肺停止。クライアントが心臓マッサージを行いながらの来院。
(1年前に肺水腫の既往があり、複数の心臓薬を服用。)

身体検査

意識レベル0%、心肺停止、可視粘膜色チアノーゼ、四肢冷感
:心原性ショックによるCPAを疑う

経 過

上記主訴にて夜間救急受診。
来院と同時にCPR開始。胸部圧迫、気管挿管、静脈ラインの確保とアドレナリン、アトロピンivにより、約2分後に自己心拍再開。Point of care 超音波検査とレントゲン検査にて心原性ショック、心原性肺水腫と診断。更に、PCV=75.6%と多血症を認め、慢性的な低酸素による赤血球増多症、過粘稠度症候群の併発を疑った。High PEEP & low tidal volumeでの陽圧呼吸管理を行いつつ、中心静脈カテーテルを設置、瀉血と血液希釈により血液粘稠度と体液量の調節を行った。
100%酸素給与下での動脈血酸素分圧(PaO2)75mmHg→467mmHg、PCV=43%、Alb=2.7g/dlと安定を得られた段階でweaningを開始、来院・挿管開始より14時間強で人工呼吸管理より離脱した。その後順調に経過し、ピモベンダン、フロセミドを中心とした服薬と、経鼻食道カテーテルによる栄養補助にて第8病日に退院した。

内服薬による通院維持を試みたが、利尿薬の増量により消化器症状がみとめられ、内科療法のみではいずれ代償不全へ陥る可能性が高い(Stage D)ことから外科的整復を検討。JASMINE どうぶつ循環器病センターにて僧帽弁修復術を実施し、現在良好に経過中。

胸部レントゲン検査

case02a

心臓超音波検査

case02b

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


レポート

  1. Whirlpool signがみられた子宮捻転の犬の1例
    1) オールハート動物リファーラルセンター2) ダクタリ動物病院 まちだドギーリーグ3) と...
  2. 尿道結石の閉塞による膀胱破裂の犬の1例
    オールハート動物リファーラルセンター獣医師 雲野症例情報犬 ダルメシアン 2歳3ヶ月 去...
  3. 2023 コロラド州立獣医科大学(CSU)SPUR 視察レポート
     CSU VTHのVisitingを終えた一行はフォートコリンズから、翌日の“CSU SPUR”と1...
  4. 2023 コロラド州立獣医科大学(CSU)VTH 視察レポート
    ダクタリ会オールハート動物リファーラルセンター池田 人司 2023年3月20日〜コロ...
  5. 院外CPAから長期予後を得た心原性肺水腫のチワワ
    診 断院外心肺停止心原性ショック、心原性肺水腫(僧房弁粘液腫様変性/僧房弁閉鎖不全症)、過粘...