CSU VTHのVisitingを終えた一行はフォートコリンズから、翌日の“CSU SPUR”と100年以上の歴史を持つ動物保護施設“ダムフレンズリーグ”への訪問を控えており、目的地のデンバーまで移動した。CSU SPURは全く新しいコンセプトのコロラド州とコロラド州立大学がOne Healthの理念“人と動物と環境”をテーマにした子どもから大人まで誰でも無料で体験できる公立の教育センターである。その中でもCSU獣医学部は保護動物のレスキュー活動を通じて、子供達に命の大切さを科学的な側面から教え、より人間らしいマインドを備えた獣医師、動物看護師を育てる事を目的としている。まさに加藤院長が日頃から、ヒューマン・アニマル・ネイチャー・ボンド(HANB教育)の大切さについて啓蒙しているが、その施設がついに形になって現れたと言っても過言でないだろう。加藤院長の先見の目には本当に驚かされる。このような施設が誕生する事を予期していたのだろうか?今度お会いしたときに是非お聞きしたい。我々がSPURに到着するとすでにテキパキとCSUの獣医学部の学生たちが外部研修の一環としてボランティアでシェルター動物のOvariohysterectomyやCastrationを実践していた。その手術の様子は大型のモニターで映し出され子供や一般の訪問者が目にすることができる。子供達からの質問があればリアルタイムで受け付ける。シェルター動物の歯石除去なども頻繁に行われ、麻酔下で定期的に行う口腔衛生管理についても日常的な啓蒙に繋がっていると感じた。アメリカを訪問するたびに犬猫の歯が本当に綺麗に維持されていることには驚かされるが、これもクライアント教育の賜物といえる。安全な麻酔の知識、技術、モニタリングもすでにシェルター動物に対する医療から始まっている。無麻酔歯石除去が言い方を変えれば動物虐待と捉えられても何ら不思議ではないことに気が付く。
我が国では残念ながら飼育頭数が減少している。その現実を嘆くより、まだまだ日本の獣医師は診察室に訪れる犬や猫の歯を見れば、もっともっとやるべきことが残されているのだと気付かされる。
アメリカの68%の食事が捨てられているという信じ難い現実。CSU SPUR TERRA
アメリカのすべての国民がフードロスについて考えなければならない。その理由として近い将来、必ず食物危機が訪れると予想されている。サステイナブルな世の中のため、作物やエネルギーの利用について考えよう。ここにはCSU農学部が深く関与している。限りある資源、作物、無駄にしないという概念を子供の頃から教える。日本では馴染のないテーマではあるが地球規模で真剣に取り組まなければならない。CSU SPURには大人の本気度がひしひしと伝わってくる。日本人はこのままで良いのか?日本の子供たちの将来は?親として、獣医師として、日本人としてOne Healthについて本気で考えなければならない。人類に与えられた究極のテーマ。CSU SPUR Hydroについては割愛させていただく。Webサイトもあるので是非チェックしていただきたい。https://csuspur.org
One Health 研究所 ミッション
CSUは“人と動物と環境”がより健康であるためのリサーチ、トレーニングをさまざまな専門分野からの学際的アプローチを行います。
CSU SPUR VIDA
猫のオブジェ、近くに行くとゴロゴロ言ったり、シャーと怒ったりする。
Future VET キッザニア体験リアルバージョン
子供達が診察室で獣医師になれる。米国では憧れの職業である。
モックアップ診察室
朝から家族連れでVIDAを見学している市民。獣医師や動物看護師の職業について知ることができる。
手術の様子がモニターに映し出され、見学できる。
フードロスについて考える。
2023 ダムフレンズリーグ 視察レポート編に続く
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